昭和32年の文部次官通達により体育指導委員制度が発足し、同36年に制定された「スポーツ振興法第19条」において、市区町村教育委員会任命の体育指導委員として法的に位置づけられました。
体育指導委員を非常勤の公務員とするこの制度は、世界に例を見ないユニークな制度であり、体育指導委員はわずかな財政負担の中で、非常勤公務員という誇りと使命感のもと、ほぼボランティアともいえる活動を通して、我が国の地域スポーツの拡大発展に大きく貢献してきました。
平成23年8月24日から、スポーツ振興法を50年ぶりに全面的に改正し、改めてスポーツの理念を定め、国及び地方公共団体の責務やスポーツ団体の努力などについて定めた「スポーツ基本法」が施行されています。
本法の附則では、スポーツ振興法にうたわれた従来の「体育指導委員」は「スポーツ推進委員」とみなすと規定されています。また、新たに「連絡調整等の職務」が加わり、文字どおり地域スポーツ振興の推進役であるスポーツ推進委員のコーディネーターとしての役割が一層期待されており、その責務の重要性とともに、活躍の場は今後さらに広がっていくものと思われます。
スポーツ基本法第32条
第32条 市町村の教育委員会(特定地方公共団体にあつては、 その長) は、当該市町村におけるスポーツの推進に係る体制の整備を図るため、社会的信望があり、スポーツに関する深い関心と理解 を有し、及び次項に規定する職務を行うのに必要な熱意と能力を持つ者の中から、スポーツ推進委員を委嘱するものとする。
2 スポーツ推進委員は、当該市町村におけるスポーツの推進のため、教育委員会規則(特定地方公共団体にあつて は、 地方公共団体の規則)の定めるところにより、スポーツの推進のための事業の実施に係る連絡調整並びに住民に対するスポーツの実技の指導 その他スポーツに関する指導及び助言を行うものとする。
3 スポーツ推進委員は、非常勤とする。
スポーツ推進委員は、スポーツ振興法で規定されている日本で唯一の公的な社会体育指導者で、市区町村の非常勤公務員として、行政と一体となり、スポーツ施策を推進します。
最近は、地域住民のスポーツ振興、さらには豊かな地域生活のため、従来の実技指導だけでなく、スポーツ振興施策の企画立案に参画するとともに、住民の身近な立場から、行政と地域住民との調整を図るコーディネーターとなっています。